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「キカイダー02」 ~時代を超えて彷徨う人形
2010/05/05/ (水) | edit |
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「キカイダー02」(作画:MEIMU 原作:石ノ森章太郎) 2001年~角川書店・月刊エースネクスト



故・石ノ森章太郎氏の「人造人間キカイダー」を、現代風のアレンジで復活させた「キカイダー02」
基本的な設定は概ねオリジナルに沿っています。 特に主人公ジローの優しげな眼差しは、オリジナルジローDNAを見事に受け継いでいます。
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MEIMUさんの卓越した画で蘇るこの作品は、魅せるキカイダーの要素が高い。
まるでのように顎の軋むMEIMU版キカイダーは、オリジナルとは違った生々しさがあり、ナノテクノロジーの産物となっている現代版の特徴が見事に生きています。

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「良心回路」(ジェミニイ回路)の不完全さがもたらす、ジローが戦闘形態にチェンジした時に起こる左右アンバランスの描写とか、機械同士の壊し合い(殺し合い)のシーンは圧巻です。
ジローイチローの乗るサイドカー「クラウザー」や、サブローのバイク「YAMAHA V-MAX」とか、実在するマシンを探し出してきた設定のこだわりも嬉しい。
マシン好きな人だともう、こういった細かさはたまらない魅力でしょう。

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石ノ森オリジナルは、子供向け描写の意識を高く感じました。
MEIMUさんの「キカイダー02」は、当然のこととしてオリジナルキカイダーに触れた人達を含め、もっと高い年齢層を意識しています。
そしてオリジナル作品の根底に流れている「環境破壊」「人になりたい人形」というテーマは、この「キカイダー02」でも踏襲されている。

だけどMEIMU版キカイダーは、どちらかと言えば環境破壊を全面に出した脚色がされています。 そこは地球環境を憂う現代に、よりマッチした内容になっています。
キカイダージローのイメージもより機械っぽく、感情の動きが少ない印象。
キカイダー01イチローなんかもう、純粋に命令を守るロボットです。
ジローとの対比として、機械の冷たさがよく出ている。

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かつての石ノ森オリジナルキカイダーは、優しさを持って生まれた機械人形ジローの苦しみを、より鮮明に描き出した物語でした。
「ピノキオ」の童話語りで始まり、ピノキオ語りで終幕するそのラストシーンは、とても有名だったと言われます。

「良心回路」という善の心を装備して生まれた機械のジローは、最後に「服従回路」という悪の心を組み込まれることで、人と同じ善悪両面の心を有することになる。
そうあって初めてジローは、人と同じようにをつきます。 もうためらうことなく、襲い来る兄弟達を破壊する。
人間になったピノキオは幸せになれたのか、と問いかけるラストシーンには、堪らない切なさがあります。

この脚色の違いは、良し悪しの問題ではありません。 石ノ森キカイダーはひとつの形として完成しています。
だからMEIMU版キカイダーには、別の色合いがあっていいと思います。
特に、ジローより先に良心回路を組み込まれたゴールデンバットとの戦いで、その違いが鮮明でした。

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ゴールデンバット良心回路の失敗のゆえ、創造主の光明寺博士の手で、一度は壊されそうに(殺されそうに)なった哀しいロボットです。
ミツコをさらってジローを誘い出し、ミツコを助けたければ自分と戦えと言う。
そしてまるで自分のを望んでいたかのように、ジローの前に戦闘形態を解いた人の姿を晒して散っていく。

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この時共鳴する良心回路が、ゴールデンバットの記憶をダウンロードします。 そしてジローは、ゴールデンバットの中にあった哀しみという感情を知る。

オリジナル作品でもゴールデンバットは哀しいロボットだったけれど、MEIMU版のそこへのこだわりはとても大きい。
そしてジローが、感情成長を続ける機械だと証明された大切な場面です。

感情を持って生まれた機械は幸せなのか? キカイダーという物語は、それを読者に問いかけます。
片腕を失ったままのジローヒナノを求めて彷徨う場面なんか、機械ゆえの一途さがとても痛々しかった。

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子供達の心に響く、石ノ森版「人造人間キカイダー」
の心が人を形作ることを教えるキカイダージロー
そして大人にも魅せる、MEIMU版「キカイダー02」
真っ白なキャンバスに哀しみや苦しみを書き込んで、次第にが成長する現代版キカイダージロー
それぞれのキカイダーが訴えてくるのは切なさです。 それは同じ切ない気持ちだけれど、違った味わいを持っています。

「キカイダー02」で感じる切なさの中には、オリジナル版キカイダーに触れているから感じることのできる、そういう切なさも含まれているようです。


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