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「家族八景」 ~イマジネーションで恋をして
2010/05/06/ (木) | edit |
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「家族八景」(作画:清原なつの 原作:筒井康孝) 2007年~角川書店・コミックチャージ



時おり面白い小説を求めて、濫読する時期があります。 昔は友人が持ってる文庫本を借りたり、図書館の本を借りたりして読んでいた。
そうやって読む小説ジャンルもバラバラです。 その頃に、推理小説をあまり好まない自分を発見した。
エドガー・アラン・ポーL・M・モンゴメリ太宰治とかの古典文学から、氷室冴子新井素子とかの少女小説まで、気分次第で節操がない。
最近だと昨年亡くなった栗本薫さんの、130巻という途方もない長さで未完となった「グイン・サーガ」が長年読み続けていた小説です。
人気の東野圭吾も、推理分野じゃない「手紙」「虹を操る少年」とかの話は面白かった。

子供の頃に読んだジャンルはSFファンタジーが多い。
レイ・ブラッドベリのファンタジー小説が好きで、お金の無い中学時代でも自分で買って読みました。 そして筒井康孝さんも、文庫を買って読んだ作家の一人です。
その筒井康孝さんの代表作とも言える物語のひとつが、この「家族八景」です。
漫画という描写に沿うとは思えない話だけど、清原なつのさんの手でどう蘇るんだろう? とても興味をひきました。

正直に言うと、ほとんどは話の内容への興味じゃありません。
12歳の頃にこの小説を読んで、脳内イマジネーションで作中の七瀬をしました。 当時で考えたら、年上のお姉さんに対する憧れみたいなものです。
その七瀬がどんな女性となって現れるのか。
その興味というのが本音です。

清原なつのさん自体も好きな漫画家です。 細いシンプルな線で、微妙な表情気持ちを上手に描き出す人という印象があります。
清原さんの描く、純粋に悩むキャラクターが好きだったんだと思う。

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「家族八景」火田七瀬(ひたななせ)は、テレパシー能力を持っています。 彼女は人のを読むことができます。
その秘密を隠すために、七瀬はひとつの場所に留まらない生活をします。 家政婦を職として、転々としていきます。  

漫画版「家族八景」で改めて理解したのは、「七瀬の年齢って18歳だったんだ」 っていう事実です。
そういう基本すらもう記憶彼方でした。
12歳で読んで、少し上くらいに意識してました。 うーん・・・ 16歳くらいのイメージかな?
事情があって働いている七瀬を、普通なら高校生くらいなんだと勘違いしてました。 読んだ頃が子供過ぎて、理解がいいかげんだったようです。

そして何より、七瀬がそれだけ純粋な存在でした。
大人になりきれない子供のように真っ白純粋さを持つ彼女を、少しだけ年上のイメージで見ていました。
実際は第一部「家族八景」の作中だけでも20歳になってます。 七瀬って大人だったんだ・・・。

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清原さんのは、幸いにして俺の脳内七瀬を守ってくれました。
ただ、当時はまるで見ようとしなかった七瀬一面が、今ははっきりと見えてきます。

テレパス七瀬には、周りの人達の笑顔の裏にある欲望欺瞞(ぎまん)が見えてしまう。 そのほとんどが、七瀬の目には汚くておぞましいものに映ります。
七瀬だけに見える、人の心の裏側にある隠された真実の顔。
そんな人の醜さに思わず目をそむける七瀬。 見えてくる穢れ(けがれ)をいとう七瀬

純潔と汚れなきを持った彼女に、俺は憧れた
その純白さ(しろさ)を守り通して欲しいと願った。

大人になって改めて七瀬を眺めると、目を逸らしていた事実が見えてしまいます。
子供の憧れでなく、大人の冷ややかな目がそれを見てしまいます。
七瀬は自身の純粋さと潔癖さを、正しい基準だと信じます。
そして悪戯な子供のように、自分の気持ちに沿って他人の人生干渉します。

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大人になりきれない真っ直ぐな心のテレパス
それは実に恐ろしい身勝手さを伴っています。 時にそれが人の精神を壊し、に追いやる現実すら招くほどに。
七瀬白い心に理解できないものは、としか映らないでしょう。

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「家族八景」は、実際にはひとつひとつの物語にとても根深い陰湿さを含んでいます。 そこに救いを与えているのは、この七瀬清らかさです。
少年時の憧れは流れ去ったけれど、俺の中に七瀬蘇ったことを素直に感謝したい。

火田七瀬というテレパス興味を持った人は、筒井康孝さんの小説をぜひ読んで欲しい。
第二部「七瀬ふたたび」冒険活劇なので、単純に楽しめます。
第三部「エディプスの恋人」は少し難解です。 七瀬の清らかさに共感していると、この完結編は切ない話になります。
当時の俺がそうだったように。

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この清原なつの版「家族八景」を手に取ってみようと思ったのは、他の人の紹介記事を目にしたからです。


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気に入っているブログのひとつです。 
作品の紹介がとても上手いなって印象ですね。
それと興味をひくのがその視点。 漫画の見方がぜんぜん思いもしない確度から見てあったり分析が細かかったりで、「なるほどー」 って感心しまくりです。

やっぱりビジョンを持ってる人達のブログって一味違うね。


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