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「 がんばれ元気」 ~そして彼は心から笑った
2010/05/11/ (火) | edit |
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 「がんばれ元気」ワイド版全12巻(作:小山ゆう) 1976年~小学館・週間少年サンデー

 

小山ゆうさんの漫画で一番好きなのは、「がんばれ元気」です。
坂本龍馬が好きなら「おーい!竜馬」をあげそうなのに?
いや、龍馬のイメージにズレを感じたせいか、その漫画の印象はそれほど残ってない。
大人気の「あずみ」も、序盤は読んでたけど途中から先を追わなくなった。 それまでの小山作品に比べてあまりにも殺伐として、個人的について行けなくなったからです。
画の雰囲気のせいか、小山ゆうさんの漫画には基本的に沈んだイメージが漂う。
俺はどちらかと言うと、暗い漫画って積極的には手にしない方。
途中に救いのある話ならまだしも、登場人物が常に苦しみ続けるような内容は、精神的にきついからです。 
なのに突然、ずんと暗くて重たい話を読みたいという衝動が沸く。 人間って不思議だ。

「がんばれ元気」の主人公堀口元気(ほりぐちげんき)は、5歳で登場します。 
病弱の元気を生んですぐに亡くなっている。
父親はうだつの上がらないボクサー。 ドサ周りで各地を転々としている。 定住がなく、流れ歩く生活の親子

父親元気ボクサーとしての姿を見せるため、プロリングへの復活を目指す。 自分が息子にしてあげられることが、他に何もないことを知っているから。
父親の目標が世界チャンピオンだと信じる元気は、父親を純粋に尊敬しています。
大好きな父親との日々以上に、元気に大切なものはありません。

にとっては息子の元気が、元気にとっては父親がすべてと言えるような、そんな生活です。

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俺の中の「泣ける映画」の代表にあがる、「チャンプ」を思い出します。
おそらくだけど、「がんばれ元気」の設定の元はこの映画でしょう。
映画「チャンプ」は、父親が幼い息子の眼にリング上の勇姿を焼付け、ボクシングの試合で死んでいくまでの物語。
そして小山ゆうさんの「がんばれ元気」は、幼い5歳元気が試合で死んだ父の姿を胸に刻みながら、そこからプロボクサーを目指していく物語です。
堀口元気の、19歳までの人生が綴られます。

子供の話に弱いので、元気が5歳当時の話はを誘いました。 小山ゆうさんはこの時代きっと、「仲良し親子を描かせたら日本一」の漫画家だったに違いない。
父親が息子のことをどんなに思っているかが、胸いっぱいに沁みてきた。
元気の父親が好きで好きでたまらない気持ちが、痛いほど響いてきた。

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元気の父親を試合で殺してしまう相手は、若い17歳の関拳児(せきけんじ)。
この試合が、天才ボクサーと言われ天狗だった関拳児の、ボクサー人生を変える。

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元気が小学生の時、関拳児は世界チャンピオンとして再登場します。 そして彼は、記録的な防衛を続ける。
「待ってるからここまで来い」 多くを語らないチャンピオンの、無言の声が聞こえるようです。
そしてチャンピオンでい続けた関拳児に、19歳の元気はぎりぎり間に合う。

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登場するほとんどの人達に、心の苦しみがあり、心から笑う人がいない。
表向きの笑顔と明るさの裏側に、常に陰鬱な空気をまとっています。
全編を通して、作品全体に暗くて重たい空気が満ちています。

元気のは、5歳まで過ごした父親との時間にずっと捕らえられています。
母親の記憶を持たない彼にとって、母とのは父親との思い出の先にしかありません。
彼にとって肉親愛情は、父親と二人の生活の中だけにあったもの。

堀口元気は、根は明るく優しい性格を持っている。 そんな彼だから、親とともに過ごした時間があまりにも少なく、親を愛し、愛され足りなかった。
くすぶり残った想いの大きさが、元気に違う世界を許しません。 彼は真っ直ぐに、関拳児だけを目指してボクサーの道を突き進んでいきます。
父の面影から卒業できない、彼の捕らわれた心の根深さを見てしまう。

これは5歳の少年元気が、内に灯る肉親への想いというを、19歳で完全に燃やし尽くすまでの物語です。
そうして堀口元気父親から巣立ち、大人へ向かう一歩を刻むとき、彼の顔には心からの笑顔がありました。
もう聞きなれた「ほっ! ほっ! ほっ! ・・・」 という、リズミカルな響きと一緒に。

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途中では、もう心を開放して欲しいとの思いもあった。 だけど、最後の笑顔ですべてが救われた。
苛立つほどに真っ直ぐで、愛情深く、不器用な生き方しかできなかった少年に、最後は拍手を贈りたい。


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