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「鬼斬り十蔵」 ~艶かしくも妖しき時代劇
2010/09/30/ (木) | edit |
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「鬼斬り十蔵」全4巻(作:せがわまさき) 1998年~講談社・ヤングマガジンアッパーズ



せがわまさきさんが初めて描いた連載漫画が、「鬼斬り十蔵」です。

せがわさんの連載作品はこのところ、山田風太郎さんの忍者小説「忍法帖シリーズ」とかを漫画化してあって、原作者ありって感じです。
「バジリスク ~甲賀忍法帖~」(全5巻)とか、「Y十M ~柳生忍法帖~」(全11巻)とか、先だって連載が終了したばかりの「山風短」もやっぱり山田風太郎さんの小説の漫画化でした。
その意味でこの「鬼斬り十蔵」は、登場人物やあらすじとかを含め全てにせがわさんのオリジナリティーを満喫できる、今のところ唯一長編漫画です。

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「鬼斬り十蔵」の扉を開くとまず、魔性を帯びた美しい画面衝撃を受けます。 そして同時に、迫力魅力あふれるタッチの剣劇に惹かれます。 
「鬼斬り十蔵」は最初に綴られるプロローグ的な描写で、我々をすっかりにします。

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さらに普通でない登場人物達の気性はとても好ましく、躍動感があり、気がつけばすっかりせがわさんの「あやかしの世界」魅了されています。

総巻数が全4巻と長くないので、展開が速くて内容がとても濃い印象があります。
それでも各人の心理的な描写とかも上手く表現されていて、初めて触れる新鮮な個性にワクワクします。

主要な立ち位置にいる登場人物はまず、「鬼斬り十蔵」の表題にもなっている主人公腕十蔵(かいなじゅうぞう)。
普段はとても寡黙で、優しげな眼差しの物静かな男です。 だけどその剣の腕は凄まじい。
許婚香奈瑚を守るために、十蔵は自ら望んでその身に「狗神ゴウザ」(いぬがみゴウザ)を宿します。
そのため彼の片目の目をしている。

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十蔵と腹違いのにあたるのが、腕源蔵(かいなげんぞう)です。
十蔵と正反対で言動が軽くていいかげん。 自ら災いを招き入れているような男です。
彼の軽はずみな行動から、平安時代の陰陽師蘆屋道満(あしやどうまん)が800年の封印から復活し、源蔵道満に体を乗っ取られてしまう。
だけ香奈瑚に移されているため、源蔵香奈瑚の体に居候状態になっています。

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兄貴風を吹かせ、何もかもを十蔵を頼りにして任せまくる源蔵。 自分は口先で仕切ってるだけって感じですが、内にはに厚い面もあります。

十蔵香奈瑚の幸せを願っている。 そして道満を蘇らせた責任も感じています。
体を奪われて大変なんだけど、彼は前向きです。 いつもうるさくて、そして明るい。
妖狐尾咲(おさき)とはいがみ合いながらも、次第にを通じていきます。

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そして「鬼斬り十蔵」で最も可哀想な人が、二人の九曜香奈瑚(くようかなこ)その人です。
源蔵とは父親違いのにあたり、平安時代蘆屋道満の宿敵だった陰陽師安倍晴明(あべのせいめい)のを引いています。
十蔵とは血の繋がりはなく、香奈瑚十蔵許婚となっている。

普段はいい意味で天然でおしとやか。 だけど芯の強さを秘めていて、とてつもない行動力も持っています。
香奈瑚の表情からは、十蔵を信じきっている心情が伝わります。 香奈瑚十蔵を見つめる眼差しは、いつも幸せに満ちている。

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だから香奈瑚不幸は、何といっても兄の源蔵意識がその身に居候していること。
ひとつの二人意識があるため、源蔵が起きている時は香奈瑚は眠り、源蔵が眠ると香奈瑚が表に出てきます。
そして源蔵は格別に品がない。

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源蔵の意識で動く時の香奈瑚の体は、胡坐をかいて座ったり胸元もはだけたりします。 眠ってる間のこととはいえ、大好きな男の前であられもない姿を晒している香奈瑚が哀れです。
見えてなくて幸いかもしれない。

この兄妹3人に人の血が半分混じっている妖狐尾咲が加わり、源蔵の体を取り戻すべく、そして香奈瑚を元に戻すために、蘆屋道満を追い求める旅が始まります。

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身に宿る狗神ゴウザの助けを受け、道満の差し向ける妖怪と戦う十蔵
妹のを借りて悪態をつきながら、弟の十蔵を信頼している源蔵
身勝手な源蔵に体を自由にさせながら、十蔵へ健気で一途な想いを向ける香奈瑚
追い求める道満と、過去に深いを持つ妖狐尾咲の愛憎。
そして明らかになっていく安倍晴明の隠された真実。

各々の想いが絡まりあい、挑むべき相手が明らかになり、そうして物語は最後の戦いへと流れていきます。

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せがわまさきさんののある描画によって、この妖艶な時代劇の雰囲気は生まれています。
二人の意識が宿る香奈瑚の表情とかには、時にゾクリとする艶めかしさがあります。

人気作家せがわまさきさんの魅力の原点を、この「鬼斬り十蔵」の中に見ることができます。



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